アイデアの出し方
プログラマーが新しいアプリやサービスを作るとき、どんなふうにしてアイデアを出せば良いでしょうか?
前回は、事業の3要素(企画、技術、営業)について検討してみました。
今回は、この中の「企画」の部分について、掘り下げてみます。
アイデアの源
「必要は発明の母」(Necessity is the mother of invention.)ということわざがあります。
「何が必要か?」という問いかけから、アイデアを得る旅が始まります。
→ 答はいつどこで見つかるか分からないので、忘れないようにメモ帳を用意しておきましょうw
快楽原則
心理学で、人間の欲求は「快楽原則」として説明されています。
快楽原則(ドイツ語: Lustprinzip, フランス語: Principe de Plaisir)とは、グスタフ・フェヒナーが作り上げジークムント・フロイトが取り入れた精神分析学の概念である。
快楽原則は人間が快楽を求め苦痛を避けること、すなわち生理学的・心理学的な必要を満そうとすることを表す。
- 楽:増やす方向に行動 (例)娯楽など
- 苦:減らす方向に行動 (例)病院など
どんな商品やサービスでも、(1)喜びを得るため、(2)苦痛を取り除くため、のいずれかの特徴があります。(両方の性質を併せ持っている場合もあります。)
自分のアイデアが、(1)、(2)、(または(1)+(2)の組合せ)のどれに属しているかを検討して、その特徴・長所を伸ばしていけばOK!
自分が欲しいもの
まずは自分が必要だと思うものが、アイデアの第1歩です。
自分が欲しいものをリストアップしてみましょう。
他人が欲しいもの
次は、周りを観察して、他の人が必要としているものを探してみましょう。
タイムマシン商法
今どんな商品が売れているか?=求められているか?をリサーチしてみます。
「タイムマシン商法」 とは、自分が商売している国や地域より進んだところで流行っているもの、人気になっているサービスなどを真似して、ビジネスすることです。
時間差商法、タイムラグ商法などと呼ぶ場合もあります。
他所の地域で流行っているものを調べたら、他人のアイデアが見えてきます。
身近にあるヒット商品の多くは、実はタイムマシン商法の産物だったりします。
サイトのコピーを作る、それを新たな国で展開する、そのあと事業を大金で売る。したがって、明日の世界を創造しているわけではない、複製を作っているだけなのだ。
未来から引き出す
すでにあるものを模倣したらただのパクリですが、まだないものを想像して作れば新しい発明です。
現在ある技術をベースにしてシミュレーションを行い、新しい技術を予想する方法が「SFプロトタイピング」です。
インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング (プロフェッショナル&イノベーション)
- 作者: ブライアン・デイビッド・ジョンソン,細谷功,島本範之
- 出版社/メーカー: 亜紀書房
- 発売日: 2013/06/07
- メディア: 単行本
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SFPでは、想像ではなく現実の技術がベースとなる。
SF作家にこうした技術が示されたうえで、SFストーリーが制作され、その技術によってどんな生活が近未来に展開されるかが描かれる。
今ある、あるいは開発中の技術は未来にどのように具体的に用いられ、未来の生活として展開していくかを私たちはイメージできるのだ。
そしてこのSFの成果が、再び技術者にフィードバックされ、技術開発に影響を与えていく。
未来を先取りする想像力
(p.130) 「12 未来を見つめなさい」
未来の新聞が読めたら誰でも金持ちになれる
私が20代後半の頃に働いていた会社、ニューベルジュ・アンド・バーマンの上司は、あるとき朝刊を読みながら、「ジム、相場が開いたらXYZ株が10万株、ABCドルで売りに出ているだろうから、買っておいておくれ」と私に言った。そして、相場が開くと、確かに、ほぼ彼の言ったとおりの株数と値段の売り注文が出ていた。
その上司は、ただ新聞を読んだだけで、これから何が起ころうとしているのかを把握していたんだ。そのときの驚きは、今でも忘れられない。
これから何が起ころうとしているのかを知っている人間は、間違いなく富を得られるだろう。
未来は、現在の変化が投影された状態=現在の延長線上にあるので、現在あるものより少し進化したものが、未来に存在しているはずです。
1万年先を想像するのは難しいけど、1年先や10年先なら、何とか想像できるでしょうか?
製品をデザインするのはとても難しい。
多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ。
消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。
完成する頃には彼らは新しいものを欲しがるだろう。
スティーブ・ジョブズは、まだ存在していない商品を想像の中から引き出すことができた人なんだろうと思います。
未来は予想するものではなく創造するもの
アラン・カーティス・ケイ(Alan Curtis Kay, 1940年5月17日 - )は、アメリカ合衆国の計算機科学者、教育者、ジャズ演奏家。
パーソナルコンピュータの父、と言われることもある。
主に、オブジェクト指向プログラミングとユーザインタフェース設計に関する初期の功績で知られている。
「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉でも知られている。
「未来を予想する」というと、待ちの姿勢で消極的なかんじがしますが、
「未来を創造する」というと、自分で開拓する姿勢で積極的なかんじがします!
中二病とは、「中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を自虐する語。転じて、思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング。
アイデアを形にする
アイデアを練って試作品を作り、具体的な形を与えてみることが、商品開発のコツです。
実現可能性 feasibility
Feasibility(実行できること)は、使える技術や期間、予算などで決まります。
月旅行に行くためのロケットを想像しても、作る技術がなければ、手に入れることはできません。
フィージビリティスタディ 【 feasibility study 】 実現可能性調査
フィージビリティスタディとは、事業やプロジェクトの実施前に、それが実現可能かどうかを調べること。また、その調査結果をまとめたもの。
日本語では「事業化調査」「予備調査」「採算性調査」「実現可能性調査」「実行可能性調査」などと呼ばれる。
- タイムマシン商法で、現在すでにある商品を分析する
- SFプロトタイピングで、未来に存在しているであろう商品を検討する
- 今ある技術で作れるものを選び、具体化する
- 技術そのものを改良して、作る方法を拡張していく
デザインスプリント
アイデアを試作品にする方法として、「デザインスプリント」というノウハウが公開されています。
デザインスプリント ―プロダクトを成功に導く短期集中実践ガイド
- 作者: Richard Banfield,C. Todd Lombardo,Trace Wax,安藤幸央,佐藤伸哉,牧野聡
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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SPRINT 最速仕事術――あらゆる仕事がうまくいく最も合理的な方法
- 作者: ジェイク・ナップ,ジョン・ゼラツキー,ブレイデン・コウィッツ,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/04/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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デザインスプリントの要点は、一言で言うと「ラピッド・プロトタイピング」です。
デザインスプリントの手法を全て真似するのは難しいかもしれませんが、考え方として参考になる部分が多々あります。
アイデア発想方法のカタログ
自分に不足しているものを補うために、要領が良い人たちのノウハウを学ぶようにしています。
(1人で全てのことを試行錯誤しようとしたら、時間がいくらあっても足りませんね?)
アイデアの発想・改良・実現の方法について、様々なノウハウが提供されています。
→ 誰もが良いアイデアを得て、問題解決策が増えれば、良い社会になるでしょうか?
発想を事業化するイノベーション・ツールキット ―― 機会の特定から実現性の証明まで
- 作者: デヴィッド・シルバースタイン,フィリップ・サミュエル,ニール・デカーロ,野村恭彦,清川幸美
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2015/05/12
- メディア: 単行本
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一つ一つ見ていくと、魔法のような特別なことはなくて、言われてみたらいちいちもっともな方法でした。
まとめ
アイデアの出し方は、いろいろある。
- 「必要は発明の母」 まずは自分が欲しいもの
- 「快楽原則」 人は喜びを増やすもの、苦痛を減らすものを欲求する
- 「タイムマシン商法」 自分の地域にないものを他から取ってくる
- 「SFプロトタイピング」 現在にないものを未来から引き出す
- 実現可能性を検討して、アイデアを吟味する。
- アイデアから試作品を作るコツは、デザインスプリントなどがある。
夢の中でアイデアを見つける場合もあるので、枕元にメモ帳を置いておきましょうw
アイデアの出し方で何か良い方法があったら教えてください。
よろしくお願いします。m(__)m